カーテンコールをもう一度

ずっとずっと幸せでいよう

ロサンゼルスは遠すぎる

 夕方、17時を回っても空が明るい。21時を過ぎて外へ出てもマフラーなしで歩けるくらいの気温になった。春の訪れについこの前までワクワクしていたけれど、トラジャと一緒にこの季節を感じられないと思うと、この春も、これから迎える夏も、なにもかも憂鬱である。

 

 2022年、3月3日、21時。ツアーのオーラスも、入所日も、主演映画公開日もブログを更新しなかった自担に、ブログでアーカイブは残さないから絶対にリアタイしてねと念を押され、不安と期待を胸に心待ちにしていたインスタライブをひとりで観ながら、「3月下旬からアメリカ・ロサンゼルスに行くことになりました」。明るくそう話す7人を目の前にして思考が停止した。「帰ってくる予定はないです」。絶望した。

 次の日、外出していた私はいてもたってもいられなくなって、私が+81を勧めたことをきっかけに松倉担になった母に電話を掛けた。映画館のそばの広場で、人がいないのをいいことに大泣きした。前向きな言葉で諭そうとしてくる母に、無性に腹が立った。その日は、きみあおのレイトショーを観ようとして辞めて、グッズだけ買った。最寄りのコンビニでトラジャが大きく載った新聞とJr.カレンダーを受け取って、泣きながら帰った。

 

 出来たオタクじゃない私がこの発表を聞いて最初に思ったことは、「会えなくなるなんて嫌だ」、ただそれだけだった。

 4年前に私はJr.担、ひいてはトラジャ担になった。そんな私がここまでトラジャに夢中になった理由は、「コンスタントに会えること」と、「物理的・心理的距離感が近いこと」だった。

 デビュー組を好きだった頃とは比べ物にならない現場の数。キャパの狭さ。地上波こそあまり露出がないものの、少クラでは曲を披露し、YouTubeでは毎週新しい彼らを観ることができた。安定したアイドル雑誌の取材があって、ファンレターの返信も届く。ただこれは少し前のジャニーズJr.ではありえないことで、ちょうどこの時期にトラジャを好きになったからこそ受けられる恩恵がたくさんあった。

 それから段々とテレビ露出も増え、世間に知られるきっかけで溢れるようになった。デビューを見届けたい。もっと有名にしたい。彼らにもっと活躍してほしい。そう思うようになった。

 しかし、そんな想いよりもずっと強く、「好きな人にたくさん会いたい」という気持ちがあったことに、今回の発表を受けて気づいた。

 身勝手なオタクで申し訳ないが、私にとってアイドルを応援するということは、自分が幸せになることであったからだ。

 YouTubeを観たり雑誌を読んだり、同じトラジャ担と交流を持つことももちろん楽しくて幸せだと思っていたけれど、彼らに直接会うことを超える「幸せ」は無かった。

 その幸せのために犠牲にしてきたことも多いからこそ、「無期限のLA修行」には受け入れ難いものがあった。LA。ロサンゼルス。アメリカ?遠すぎる。Instagramは英語で発信していくから、コメントも出来るだけ英語にしてほしい。日本人なのに?一体誰に向けて発信しているの。物理的にも、心理的にも、全部遠くなった気がした。

 

 毎月のように現場があった2019年。コロナ禍に見舞われながらもソロコンが配信された2020年。念願の初全国ツアーと、メンバーそれぞれのメディア露出が格段に増えた2021年。そして、トラジャのために迎えたかのような寅年、2022年。2月18日には、自担である元太くんの主演映画も公開された。

 これからどんな1年になるんだろう。今年はアリーナツアーかな?ここまできたらデビューもあるかもしれない。だって2022年、寅年だもん。めちゃくちゃ期待していた。

 アリーナツアーの初日に入って、トラジャが先輩の曲を歌うところをみたかった。そこで私の通ってきたグループの、私の好きな曲が流れて、泣き崩れる準備もしていた。本当に楽しみにしていた。

 

  「期待しないこと」。雑誌名は忘れてしまったが、2019年2月に兄組から選抜された対談で(確かトラジャからはWカイトだった)、ジャニーズJr.を盛り上げる3ヶ条のひとつに挙げられていたこと。色んな場面で、この言葉を思い出すことがあった。勝手に期待して勝手に落ち込むことはこれまでに何度もあって、わかっているはずだった。でも、今のトラジャには、期待をせずにはいられない勢いがあった。それは絶対に間違いではない。

 今ある日本での仕事を全部辞めて、修行のために渡米するなんてあまりにもリスクが高すぎる。これはもう会える会えないの問題ではなくて、帰ってきたときに、また彼らが活躍できる居場所があるのかと不安になった。まだデビューもしていないのに。

 それなのに、期限を決めずに「何か」を成し遂げで帰ってくる、そんな曖昧な言葉だけを信じて待つなんて私には出来ないと思った。

 自分本位な話ではあるが、たとえ数年後に彼らが帰国して会える機会ができたとしても、その時私がそこに足を運ぶことができる状況であるかは分からないから。好きな気持ちはあるのに会うことが出来なかったら、苦しくてどうにかなってしまうと思う。今の私には、今だからできることが多すぎる。それは彼らにとっても同じことだけれど。

 

 今までの自分を振り返ってみて、自分がいかにアイドルに依存していたのかを痛感した。私からトラジャを取ったら、何も残らなかった。

 そこでまた気付かされたことは、このまま娯楽ばかりに興じていてはいけないということ。そして、誰かを好きでいること、応援することは、永遠ではないということである。

 

 私にも叶えたい夢がある。その夢を叶えるためには、ずっとアイドルだけを見ていてはいけないなんてことは、ずっと前から分かっていて、だけど知らないふりをしていた。現実を見るのが怖かった。実際トラジャがいてくれたおかげで背中を押されたことも多いが、一歩踏み出すためには、彼らに依存していてはいけないということを、強く実感した。

 彼らが渡米して何かを成し遂げるのなら、私もその間に自分の夢に向かって努力をしたいと思った。

 

 LAに行って彼らは、月曜日から金曜日は語学学校で勉強をしてからダンスレッスンやボイストレーニングを受け、土日も休まずSNSYouTubeの撮影をするという。7人でひとつの家を借り、家事も何もかも自分たちでこなして共同生活をする。しかも一人ひとりに部屋があるわけではなく、相部屋になるかもしれないと。

 私から考えたら正気の沙汰ではないが、日本を離れてまでスキルアップするための覚悟がそこにはあるのだと感じた。

 このような機会を設けられ、期待されて飛び立つ彼らを、少し羨ましいとさえ思った。

 

 タッキーの「ファンの方が納得するようなものを得られた時に、どうするか考えたい」という言葉を目にした時は、今の状態で納得してるし、むしろ今のままがいい。ファンの納得って何?と思った。与えられる言葉全てが私の不安を煽った。しかし冷静になって考えたら、この「納得」とは、私たちが今のトラジャに納得していないことを指すのではなくて、トラジャが突然の発表による戸惑いやかなしみによって彼らの挑戦したいことをまだ受け入れられない私たちに「この経験があってよかった」と思わせてくれるような想像もつかない成長をして帰ってくることなのではないかと感じた。

  今の私には、トラジャがファンを無期限で待たせてまでしたい経験の大きさを想像することは出来ないし、本当は留まってほしいし、前向きな気持ちで送り出せるかと聞かれると、申し訳ないけれどそれはできない。2022年も始まったばかりなのに、トラジャが日本から離れてしまうなんて寂しすぎる。本当に本当に寂しい。今年もたくさん会うって決めてたのに。やりたいことがたくさんあったのに。こんなに大好きで、毎日彼らのことを考えて、次に会える機会を想像して生きてきたのに、急にいなくなってしまうなんてあんまりだ。

 それでも、トラジャを好きになったことを後悔したくないし、これからもたくさんの幸せをもらいたいし、大好きなことには変わりないから、時間がかかっても彼らの背中を押したい。

 

 わがままを言うなら、できるだけ早く帰ってきてください。無期限を謳うくらいだから、そう簡単な修行ではないと思うけれど、もう一度くらいみんなに会いたい。トラジャが、元太くんが歌って踊るところをみたい。デビュー前にもう一度だけライブしてほしい。最後に先輩の曲を歌う彼らを見て泣き崩れたいから。

 

 

 そしてもうひとつ、忘れないでいてほしいこと。それは、Travis Japanは日本のアイドルで、ジャニーズであること。アイドルとは、日本が誇る文化であること。その中でもジャニーズは、伝統も人気も確立しているということ。

 新しい挑戦をする中でいろんな刺激を受けると思うけれど、それに染まるのではなくて、それを今あるものにプラスしていってほしい。今ある個性を捨てないでほしい。

 どうか、「ジャニーズJr.のTravis Japan」「Travis Japanのメンバー」であることを、どんな時でも誇りに思っていてほしい。

 少なくとも私は、彼らがジャニーズだから出会えたし、好きになれた。これからもトラジャには、ジャニーズとして活躍してほしいと心の底から思っている。

 

最後に、松田元太くんへ。

 個人仕事か、LA修行か、どちらの話が先に来たかは分からないけど、葛藤したことも多いと思います。ただ、元太くんの信じて突き進む道はきっと、どれも間違いではなくて、元太くんがその道を正解にする力を持っているのだと思います。

 無理だけはしないで、身体には気をつけて、今まで培ってきた力を存分に発揮しながら頑張ってください。あなたたちが帰ってくる頃、どんな形であれ、きっとまだ私はトラジャ担だと思います。スキルアップした元太くんをみられる日が来ることをとても楽しみにしています。ずっとずっと大好き!